長年の学業と数年の実務経験で、念願の建築士の受験資格が得られます。
学校卒業後の実務経験が試験に役立つかには疑問が残ります。
受験勉強の時間がなくなる分、かえって合格から遠ざかるとも言えます。
新人としての忙しい社会人生活を送りながら、やっとの思いで学科に合格しても、次に待っているのは製図の試験です。
学科はこれまでの人生で経験した受験勉強の応用で、合格することができます。
学科は知識を問うだけの試験だからです。
しかし、一定の時間内に建物を計画し、実際に建てることができる建物の図面を書くことは、これまでの人生では経験してこなかったことです。
学科は一定の勉強量により合格することができますが、設計と作図は勉強量を確保しても習得が保証されるわけではありません。
図面をまとめるには独特のセンスが必要です。
仕事をこなすための心構えと言い換えてもよく、その後の人生にも役立つことです。
図面をまとめるセンスは特別な勉強法により身につけることができます。
製図においても一定の知識は必要です。
建築基準法の知識は確実に身につけておかなければなりません。
実務では、境界線からの外壁後退を1m取らなければならない地域において、その距離を確保できなければ、それだけでアウトです。
試験においては、法規の知識のなさによる間違いは、極力避ける必要があります。試験で求められるのは、スピードと優先順位です。
受験勉強の段階から、作図では時間制限を自ら設定し、時間内に作図を終わらせる練習を積むことが効果的です。
エスキスと作図にかける時間配分も大切です。作図にかかる時間は簡単に変えられません。
作図の時間を確保するために、エスキスの時間を加減する必要があります。また、優先順位をつけることが大切となります。
必ず守らなければならない、法規、面積、部屋、テキストなどは優先順位が高くなります。
優先順位が低いのは、上手か下手か、きれいかきれいでないか、文章の内容などです。
スピードと優先順位の的確さは実務でも必要とされるものです。
実務でその訓練をつむことが、効果的な勉強法となります。 建築士の製図試験は上手な設計を問うものではありません。
必要とされる事項をすべて盛り込んで、時間内に図面を書くことが問われます。
要求された条件は全て盛り込まなければなりません。
受験までの普段の生活でも、毎日自らに条件を設定し、それを残らず達成する癖をつけることが良い訓練となります。
建築士の勉強法は、技術的な内容よりも、仕事術と共通している部分があります。
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