建築士は建築物の設計と監理を行う職種です。大変なことはたくさんあります。
建築士になるための大学での勉強から資格取得、実務上での苦労まで。
まず勉強が大変です。大変な仕事である理由は対象となる分野の広さです。大学の建築学科は、履修すべき科目の範囲が広いことで知られています。
建築学科は一般的に工学部に所属し理系と考えられていますが、実際は理系の範囲を超える学習が必要です。
どんな建物をつくるかの判断には歴史や哲学、経済学の知識が必要です。建築物は機能的でなければならないだけでなく、美的でなければなりません。
また、大学の建築学科では、専門科目として絵画や彫塑の履修が必要となります。技術的な知識も必要で、構造力学は内容が高度で難しく、多くの学生が習得に苦労します。
建築士になるのも簡単ではありません。一級と二級の国家試験は難関で、合格に数年を要する人もいます。
受験に至るまでの学業や実務経験に要する時間が長く、学科と実技に分かれる試験内容も難解です。
受験資格取得には学歴の他、実務経験が必要で、その間、仕事の合い間を縫って受験勉強をしなければなりません。
資格取得により、すぐ、独立できる訳でもありません。一定期間は設計事務所や建設会社で修行しなければ、社会で通用する実力を身に付けることはできません。
さらに、建築士の実務で大変なことの一つに建築法規があります。
建築物は着工前に建築主による建築確認申請が必要です。
建築確認申請では、申請された建築物が建築基準法と関連法規に適合していることが審査されます。
建築基準法は日本の法律の中でも難解なことで知られています。
建築確認申請の審査も厳格に行われ、通常は申請後に多くの指摘を受け、訂正や変更をしなければ建築確認に適合することができません。
建築物は一般的にかなり費用がかかります。建築物と予算は密接に関わっています。
民間工事の場合は金融機関から融資を受けることも多く、融資の決定までに、計画図の作成など技術的な関わりが生じます。
公共工事の場合は決められた予算の範囲内に工事費が納まるような設計をする必要があります。
通常は予定されている予算と合わせるために、設計変更が繰り返されます。 現場が始まると、予期せぬ事態も発生します。
地盤の調査は事前に行うものの、全ての地点でボーリングをするわけではありません。予定していた杭が支持地盤までとどかず、工事の追加をすることもあります。
現場では必要な職人が集まらない場合もあり、職人の手配が大変になります。
現場では設計図通りの施工が求められます。関連機関の検査も厳しく、合格するまでが大変です。建築士の仕事は計画段階から建物の完成まで、気が抜けません。
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